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ダイカスト金型について理解を深めるためにおさえておきたいのが「セミソリッドダイカスト」と呼ばれる工法です。ここでは、セミソリッドダイカストの特徴や方法、将来性などについて解説します。
セミソリッドダイカストは、どのような特徴を持った工法なのでしょうか。代表的な特徴から解説します。
溶湯とは、高温で溶かした金属のことです。セミソリッドダイカストは、溶湯をセミソリッド状態とも呼ばれるスラリー化(液体状の混合物)してから鋳造する方法のことをいいます。これにより、従来工法と比較してガス量が非常に少ないため、熱処理や溶接がしやすくなるのが特徴です。
セミソリッドダイカストは、引け巣が極めて少ない特徴を持ちます。ひけ巣とは、鋳巣(ちゅうす)と呼ばれる鋳造物の内側に空洞が発生してしまう鋳造欠陥の一種です。 これは、鋳型内において溶湯の温度が低下した場合に液体収縮が起こることと、冷却が進んで固体収縮が起こることなどが原因で発生します。収縮によって不足した体積分が液体側から補給しきれないと空間ができてしまいます。
ひけ巣は部品の強度低下を引き起こしますが、セミソリッドダイカストの場合は液体状態ではなくセミソリッド状態から鋳造することで引け巣を抑えることが可能です。
セミソリッドダイカストには、レオキャスト法と、チクソキャスト法の2種類があります。それぞれどういったものなのかについて解説します。
レオキャストとは半凝固のことであり、液体を冷却してから固液共存状態にします。レオキャスト法のほかにも、半凝固鋳造、セミソリッドキャスティングなどと呼ばれる方法です。 溶湯を機械力や電磁気力といったものを使用して撹拌しながら冷却すると、初晶デンドライトが晶出されます。この初晶デンドライトを粉砕する形で溶湯の中に分散させ、溶湯と固相粒子と混合状態にしたものです。 スラリーは高圧鋳造機のスリーブ内へ移送されて圧入鋳造されます。どの程度冷却・撹拌するかによって固相率・固相粒子のサイズが変わります。
チクソキャストとは半溶融のことであり、あらかじめ組織制御された固体を加熱し、固液共存状態にする方法です。半溶融鋳造やセミソリッドフォーミング、チクソフォーミングなどとも呼ばれます。 半凝固鋳造法で初晶を粒状化して混合物にし、金型鋳造や半連続鋳造でビレットと呼ばれる金属塊にします。続いて金属塊を切断し、加熱してからスラリーを高圧鋳造機にセットする形で圧入鋳造するのがチクソキャスト法です。
セミソリッドダイカストは、将来性が高いといえます。これは、アルミニウム合金のほかに鉄や銅、その他の金属でも選択できることが大きな理由です。今後、さまざまな分野においてセミソリッドダイカストが活躍していくものと予想されます。 スラリー製造に関わるコストなどの問題はありますが、安価で強度にも優れている材料のセミソリッド成形技術の開発なども進んでいます。さらに技術開発が進み、多くの合金材料でセミソリッドダイカストが選択できるようになれば、適応範囲も広がるでしょう。
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