溶湯の金型への流動から充填までの状況を、ソフトウェアを使用して解析するのが「流動解析」。ダイカスト金型の製作では一般的に用いられており、湯境欠陥をはじめとする不良への対策や、形状・方案検討をサポートする技術です。
ここでは、鋳造業界における流動解析の基礎知識と、流動解析によって防げる金型不良について説明します。
鋳造業界における流動解析とは、金型内への溶湯充填、凝固過程をシミュレーションするためのコンピューターによる解析技術(CAE)のことです。溶湯金属が金型内でどのように流動し充填していくのか、一連のプロセスを詳しく解析しデータとして抽出できます
ダイカスト鋳造に置いて流動解析が行われる目的は、要求仕様通りの鋳物を仕上げる(ダイカスト化する)ことです。単に溶湯金属の流動・凝固過程の解析データを得るだけではありません。
流動解析の実施により、湯流れの推測、残留空気、発生ガスの巻き込み、その他の欠陥を鋳造前に把握可能。事前予測の解析データを基にシミュレーションを行い、不良や欠陥の少ない製品に仕上げられます。
工程に入る前に流動解析を行っておけば、鋳造前に不良欠陥や不具合箇所を予測できます。無駄な工数を減らして工程を効率化し、製品化のコストを抑えられるのです。事前にシミュレーションを行い、不要なトラブルを避けられる最短ルートを知っておくことで、早くスムーズにゴール(完成)にたどり着けます。
流動解析の実施によりさまざまな成形不良や欠陥を予測することができます。具体的には、充てん不良、ウェルドライン、エアストラップ、成形後の収縮、ソリ不良といったものです。いずれも理想的な成形を阻害する要因ばかりです。こうした不良品トラブルは流動解析によって未然の段階で防げます。
不良品トラブルを回避することにより、納期の遅れやコスト高といった問題も解決が可能です。