精度と"おいしい取り組み"を兼ね備えたダイカスト金型メーカー3選 >>
ダイカスト製品の製作過程においては、期せずして様々な原因により鋳造不良が発生することもあります。具体的には「鋳巣」「ヒケ」「充てん不足」「コールドシャット(湯境)」「割れ・歪み」といったものです。ここではそれぞれの不良がどんな原因で起きるのかを解説。不具合を抑えるための対処法についても紹介しています。
「鋳巣」は設計にない空洞が鋳物の内部に発生してしまう鋳造不良。大きく分けると「巻き込み巣」と「引け巣」の2種類です。巻き込み巣は溶湯内への空気やガスの混入、引け巣は溶湯の供給不足が原因で発生します。いずれも欠陥現象であり、品質を下げてしまうため、対策が必要です。
鋳巣への対策としては、
などがあります。
「ヒケ」は成形品の表面に凹(くぼみ)が発生している状態。一見ささいに思える鋳造欠陥ですが、成形加工においては解決が難しい問題の一つです。ヒケの原因は金型の部分的な加熱による全体への冷却の遅れ、すなわち冷却スピードのばらつき。金型温度の調整や金型自体の設計変更を行い、冷却スピードを均一にしてばらつきが出ないようにすれば、冷却の遅れによる窪みの発生を防止することができます。
充てん不足(湯回り不足)は、文字通り、金型内部の空洞(キャビティ)へ流し込む溶融金属の量が不足している状態です。成形圧力の不足や冷却スピードのばらつきなどが原因。溶湯がキャビティ全体に均一に行き渡らず、形状欠陥を生じさせてしまいます。
対処法としては、
などです。
材料から対処する場合には、
といった方法があります。
充てん不足を起こさないために、流動解析などでシミュレーションをしておくことも、不良品を防ぐ方法のひとつです。
コールドシャット(湯境)は、金型へ流し込む溶湯が途中で熱量を失い凝固してしまい、合流地点で深い継ぎ目となった状態です。原因としては金型温度の低下による鋳造圧力、プランジャー速度の不足、注入圧力の低下などが考えられます。
対策には、金型温度・溶融金属温度、プランジャー速度、鋳造圧力の上昇、湯口の位置と大きさの調整が有効です。改善されない場合は、湯口断面を増やすなどの処置が必要になります。
割れ・歪みは、製品が部分的に割れたり歪んだりしている状態です。割れ・歪みがあると完成品として製品化することはできません。原因は、抜け勾配不足、一様でない収縮、鋭い角、不適当な押出し位置などが考えられます。凝固中の割れは「高温割れ」、冷却過程及び時間経過後は「低温割れ」によるものです。
対処としては、形状設計の再検討、押出し位置の変更、増設などを行います。
破断チル層は、スリーブ内に注湯された溶解金属がその壁面において急冷されて凝固層が発生し、製品内に取り込まれた状態です。破断チル層には応力集中が発生しやすく、製品強度の低下につながる可能性があります。原因はスリーブ充填率の低下や低速射出ストロークが長いことなど。
破断チル層の防止策としては、溶湯温度とプランジャー速度の調整が有効です。スリーブ内の熱伝達効率を低下させ溶湯の凝固を阻止する「粉体離型剤」による対策もあります。
湯じわは金型の温度が低いとき、金型へ注入した溶湯が完全融合する前に固まってしまっておきる欠陥。製品の表面に、しわ状のくぼみや細い継ぎ目のような現象があらわれます。金型の温度が低いときや、金型と溶湯の温度差が大きいときに発生しやすい欠陥です。ガス抜き不良が原因になることもあります。
対策としては、離型剤の塗布量を少量にしつつ、金型温度を上昇させ、溶湯温度を低下させます。
かじりは、成形後に金型から製品を取り出す際、製品の表面に引っかき傷が発生する現象です。原因は、金型の溶損、変形、溶湯の焼き付き、抜け勾配が不適切など幾つかの要因が考えられます。
かじりへの対策は、ダイカスト取り出し時に傷が発生する要因を除去すること。金型表面の研磨や適切な抜き勾配の設計、離型剤の塗布条件などの確認、調整なども行います。キャビティへの研磨については、アンダーカットがないよう十分に磨くのがポイントです。
焼付きとは、金型と溶湯の溶着により起こる外観不良。「離型時に製品が変形する」「製品を金型から取り出せない」「表面に傷が残る」といった現象が生じます。原因は金型と溶湯が溶着して、金型が局所的に加熱されてしまうことです。
対策としては、鋳造法案の改善、金型冷却の見直し、離型剤の変更、塗布条件の変更などが有効。機能上差支えのない範囲で、丸みがつくよう金型を再設計し修正する方法もあります。
ふくれとは、型開き時に製品の表面近くに圧縮されたガスが膨張し、製品に膨れや変形を生じさせる現象です。膨張の度合いは米粒大程度から小豆大程度まで幅があります。ふくれの原因は製品の温度が高いときに、鋳物の内部に圧縮されたガスの膨張。
対策は「金型の冷却強化と冷却時間を長くして製品温度を下げる」「ガスの巻き込みを減らすため設計・方案・離型剤の調整を行う」などです。
変色とは、離型剤の含有物が製品表面の色を変えてしまう現象です。変色の内容に関わらず、外観不良であるため完成品にはなり得ません。原因は不適正な離型剤の使用。
変色への対策は離型剤を適当なものに変更することです。なお、鋳造時に冷却水が残っている場合、製品が酸化して白く錆びることがありますが、この現象は変色ではなく「酸化」と呼ばれます。
肌荒れは、製品の表面が粗くなってしまう現象です。製品に問題があるのではなく、鋳型内の内壁が種々の原因により局所的に欠落することで引き起こされます。キャビティ面の表面の粗さがそのまま製品に転写される形で、表面が局部的な肌荒れを生じるのです。
肌荒れの原因は、金型のヒートチェック傷(亀甲状のひび割れ)、金型キャビティ面への溶湯の付着、キャビティ面の表面の粗さなど。対策としては、金型の付着物の清掃と研磨、ヒートチェックの進行次第では、金型の更新も必要になります。
ハードスポットは、溶湯へ異物が混入した状態で鋳造を行った際に発生する不良です。後工程での切削加工時に切削工具の破損原因となります。
対策は異物の混入の防止や溶解炉での溶解金属の熱処理、フィルターによる濾過などが有効です。
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